研究課題/領域番号 |
17592212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
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研究分担者 |
平野 昭彦 岩手県立大学, 看護学部, 助教授 (30305255)
井上 都之 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (00281254)
石田 陽子 岩手県立大学, 看護学部, 助手 (60322335)
小山 奈都子 岩手県立大学, 看護学部, 助手 (40347191)
小島 義和 東海大学, 健康科学部, 助教授 (60215259)
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キーワード | 抗がん剤 / メイロン / 血管外漏出 / 罨法 / 看護学 / 病理学 / 薬理学 / 実験動物 |
研究概要 |
1.文献調査 ビンカアルカロイド系の抗がん剤については、温罨法が有効であることに関して医学・看護学専門書に以前から記載され、臨床においては実際にマニュアルとして活用されているものの、それを裏づける研究内容については不明であった。そこで、医中誌WebとMEDLINE(PubMed)で文献検索を実施した。その結果、Dorr(1985)の実験動物を用いた研究論文がその根拠であると考えられた。しかし、本研究はマウス背部の皮内に投与しており、実際の薬剤漏出部位と異なっていた。また、温罨法は43-45℃で実施しており、臨床においては低温熱傷を引き起こす可能性がある。このようなことから、Dorrの研究内容は問題が多く、今後詳細に検討する必要があると考えられた。なお、我々の研究メンバーは、ビンカアルカロイド系の抗がん剤が漏出した場合、炎症が誘発することはすでに確認しており、このような薬剤については冷罨法が有効である可能性が高いと考えられる。 2.実証的研究 血管外に漏出した場合、重篤な皮膚傷害が生じる炭酸水素ナトリウム注射液メイロン(大塚製薬)を使用し、糖尿病ラットの左右後肢内側伏在静脈周囲に実験的に漏出させ冷罨法(17-20℃)あるいは温罨法(40-42℃)を施した実験群について、罨法なしの対照群と24時間後に比較検討した。その結果、薬剤漏出部位の肉眼的観察では対照群と罨法群で明らかな差は認められなかった。組織学的検索では、薬剤が血管外に漏出した部位において、冷罨法群では、対照群に比べ炎症性細胞の浸潤などの組織傷害の程度が軽度であり、温罨法では、対照群および冷罨法群と比較し炎症性細胞の浸潤が強く、筋壊死像が認められるなど、組織傷害の程度が重篤であった。このことより、創傷の治癒が遅延する傾向にある患者において、メイロンが血管外に漏出した場合、温罨法よりも冷罨法の方が組織傷害を抑制する点で有用であると考えられた。
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