研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き看護者の腰痛予防のための「ボディメカニクス活用の自己学習システム」の開発とその評価を行った。昨年度までの評価をもとに,(1)「システムを学習者自身が簡便に装着し操作できること」,(2)「学習者が自己の看護動作を客観的に評価し,動作時の前傾姿勢角度が減少すること」を目標とした。 具体的に,(1)については,センサ装着具の簡略化を図るとともにシステム装着・操作マニュアルを作成した。(2)については,力学的に腰部負担のかかる前傾姿勢角度になると,リアルタイムに音声で学習者に警告を発する機能を加えた。また,看護動作時の映像をシステム表示画面に加えることによって,リアルタイムまたは再生時に学習者が自己のボディメカニクス活用状況を看護動作場面と併せて客観的に評価できるよう試みた。 上記のように本年度開発したシステムを用いた評価実験を,看護学生24名を対象として実施した。なお,方法は実際の看護技術演習で行っているグループ学習形式とした。その結果,システムの自己装着についてはマニュアル改善やさらなる装着具の簡略化の必要性などの課題が見出された。一方,システム評価については,学習者は,音声機能や動作映像の追加によってリアルタイムまたは再生時に看護動作を客観的かつ具体的に評価することが可能となり,看護動作時の前傾姿勢角度の軽減も認められた。本システムの活用によって,看護学生はグループ単位で自己の看護動作を客観的に評価しボディメカニクス活用動作を習得することが可能となることが示唆された。 今後も引き続き,看護者の腰痛予防のためのボディメカニクス学習支援に向けて,さらなるシステムの改善を行い,看護基礎教育のみならず看護現場でも活用できるシステムの完成とボディメカニクス学習プログラムの提案を目指したい。
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