研究課題
本研究は、「食事援助」に焦点を当てた『食看護アセスメント指標』の開発を目的とし、昨年度は、文献検討から食行動アセスメントの項目を明確にした。二年目の今年度は、食事の援助技術に関する看護師の判断と援助内容を明らかにした。研究方法は、一年目で導き出した項目を枠組みとして、看護師11名に対し、本研究班が作成したインタビューガイドに沿ってインタビューを行い、データを収集した。対象者は、H県内の300床の病院の脳血管障害など回復期リハビリ病棟50床に勤務する看護師とした。データの分析は、食事の援助場面における看護師の判断と食事の援助技術内容に焦点をあてて質的に分析した。その結果、看護師が食事援助の際に行っている判断と援助内容は、【情報】、【工夫】、【対応】、【査定】、【看護師の思い】であった。最初の【情報】は、看護師が行っている[情報収集・情報交換]というサブカテゴリーが含まれ、言語療法士には「嚥下造影の読影会や患者の現状」、作業療法士には「食事の用具の相談」を行い、家族から「食事の嗜好」を、また添書や紹介状から「筋緊張の状態や体幹バランス」の情報を得ていた。【工夫】は、[チームで統一]、[食事前]、[食事介助時]、[きっかけ食]という4つのサブカテゴリーで構成され、[食事前]では、「摂食体位」、「嚥下反射の有無」、「食欲への刺激」、「唾液分泌促進」、「食環境」、「食事形態」という工夫が含まれていた。【対応】のカテゴリーは、[技術の提供]、[食事前]に備えるというサブカテゴリーで構成されていた。四つ目の【査定】には、[観察]、[判断]、[アセスメント]という3つのサブカテゴリーがあり、最後の【看護師の思い】のカテゴリーには、[患者の食事への思い]、[職務]、[専門知識]の3つのサブカテゴリーが含まれていた。看護師は、患者の身体を思い、責任をもって看護していることが明確になった。3年目では、実際に看護師から援助を受けている療養者を対象にデータ収集し、上記看護師のデータと統合させて、『食看護アセスメント指標』を開発していきたい。
すべて 2006
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Nursing Informatics (6月,韓国)で発表
第11回日本緩和医療学会総会(6月,神戸市)で発表
第12回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会(9月倉敷市)で発表
EAFONS(3月,韓国)で発表