研究概要 |
平成17年度は、我々がこれまで3年間にわたって実施してきた一般病棟における血管カテーテルの衛生管理に関する調査結果をまとめ,論文として投稿した(環境感染,2005).中心静脈輸液を行った患者の輸液バッグと輸液ライン内の輸液から微生物を分離し,汚染状況を調査から,以下の知見を得た.輸液バッグでは95検体中3検体(3.2%),輸液ライン54本中3検体(5.6%)において細菌が分離された.細菌が分離された輸液バッグは,全て病棟において調製されたものであり,薬剤部で無菌的に調製された輸液からは菌が分離されなかった.また,細菌が分離された輸液ラインは,三方活栓などのライン開口部から薬液の注入や採血などが行われたラインであり,操作がなかったラインからは微生物は分離されなかった(P<0.05).また,フィルターの下流からも微生物は分離されなかった.これらの結果から輸液の汚染を防止するためには,輸液調製時と開放型輸液ラインからのアクセスにおける汚染を防止することが重要と考えられた.この知見をもとに,平成17年9月からは,中心静脈輸液を高頻度に実施しているICU病棟における輸液調整,輸液ライン接続,カテーテル刺入部の清潔ケアの作業における衛生行為について実態調査を開始し,現在作業時の汚染リスクについて解析中である. さらに、今年度は、気管内吸引カテーテルの保管に関する最近汚染の実態調査を実施し,論文として投稿した(愛知医科大学紀要4号,2006)。吸引に使用したカテーテルの汚染が見出され,汚染が現在実施している消毒用薬液や洗浄方法上の問題点,さらにカテーテルの乾燥の不足が関与していることが示唆された.
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