一般病院においてがん看護に携わる看護師が経験する倫理的問題への対応を支援するコーチングシステムを構築することを最終目的とする研究の3年目にあたり、コーチングシステムの構築と具体的な試案の作成にとりくんだ。昨年度の成果を踏まえ、検討をすすめた結果、コーチングシステムは、個別の事案に対する相談機能を発揮するコンサルテーションシステムと、職場風土の変化やコミュニケーションスキルの向上を目指す教育システムの二つのサブシステムとして構築することとした。 コンサルテーションシステムに関しては、倫理的判断を求められる事例相談、倫理的ジレンマに悩む看護師の相談、またその看護師を支援する管理者の相談をスタートさせた。このシステムと運用に関する試案を検討する過程において、研究のコアメンバーのなかで、職場風土の問題が意識化され、変化の必要性が強く認識された。教育システムの検討は、基礎的なコミュニケーション技術の習得に加え、無意識下にある職場風土の影響を意識化させるプログラムと、個人の倫理的感受性を意識化し高めていくためのプログラムの必要性が、研究者と研究フィールのコアメンバーの間で共通認識された。システムの成果として、コンサルテーション件数、満足度、個々の看護師の倫理的感受性の高まり、職場風土を今後の成果指標と置き、洗練させることの意義が明らかになった。
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