研究概要 |
本研究は,看護系大学において得た知識を就職初期段階でどのように活用し,能力、知識、技術をどのように形成しているか,大学在学時からの経時的な変化を追いながら初期キャリアの形成過程を解明することを目的として研究をすすめた。また,そうした作業を通じて,初期キャリア形成過程をコンピテンシー形成の観点から明らかにすると同時に,急激な大学化の教育的特質と関連づけて検討することで職業教育としての看護系大学教育に具体的な提言等を模索するものであった。 今年度は,研究初年度の総合病院の看護師に対するアンケート調査結果の検討,大学在学生のアンケート調査およびインタビュー調査を受け,大学卒業看護師に求められているコンピテンシーについて焦点を絞った。主な研究は,(1)卒後1年目と指導者に対するアンケート調査,(2)専門化した看護領域でのコンピテンシーの検討,(3)看護師の採用担当者である看護部関係者に対するインタビュー調査,である。具体的には,(1)では,卒後1年目とその指導者に対しそれぞれが求めている看護師像の違いについて検討した。(2)では,総合病院勤務者と専門化した施設でのコンピテンシー獲得能力とキャリア形成過程の違いを検討した。(3)では,今年度は3つの施設の人事担当者に対してヒアリング調査を行い,大学教育で獲得する能力,採用時に要求される能力,就職後に育成される能力について,コンピテンシー概念から関連性を検討した。 最終報告書は,昨年度の中間報告書の総合病院に対するアンケート調査の検討を踏まえて,(1)(2)(3)の研究方法から大卒看護師の大学教育と労働市場におけるコンピテンシー形成を中心にとりまとめた。
|