目的:がん関連領域の認定看護師が実践で体験する倫理的問題について調査した。 研究方法はフォーカスグループインタビュー法である。 研究対象は、がん化学療法看護認定看護師3名、がん性疼痛看護認定看護師5名であった。 結果は次の通りであった。 1. がん化学療法看護認定看護師が体験する主な倫理的問題は、適切な情報提供がなされないことによる患者の選択権の侵害と不充足に関連した倫理的問題、医師本位のインフォームドコンセントと患者の選択権の不充足と医療者の役割不足に関連した倫理的問題であった。これらに対する認定看護師の主な対応は、(1)患者の治療への意思決定の支援、(2)検査情報を十分活用し自己管理へのセルフケアの支援、(3)がん性疼痛看護認定看護師が役割と責任責務から自己研鑽することと、(5)同僚や他専門職者と協同して緩和ケアチームを発足させ活動することであった。 2. がん性疼痛看護認定看護師が体験する主な倫理的問題は、医師の不十分な疼痛管理に関連した倫理的問題、患者の意向より状況優先の延命措置・蘇生に関連する倫理的問題、在宅支援と薬物管理の困難に関連する倫理的問題であった。これらに対する認定看護師の主な対応は、(1)「緩和ケアチームの活動」・「処方マニュアルの作成」、(2)「疼痛緩和への理解の不断の努力」・「あきらめ」、(3)「患者の意思を尊重して、延命措置は書面に残し理解を得ること」・「残された家族への支援」、(4)「麻薬管理マニュアルを活用して患者家族を支援」などであった。
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