研究計画2年目の本年度は、初年度調査の分析(A)と現任教育での研修プログラムの検討(B)を主として計画していたが、研究代表者の所属変更、それに伴う研究分担者の変更や研究組織の縮小があり、当初の計画より実施内容が制限された。 (A)看護師-患者関係での測定尺度について内容妥当性および弁別妥当性検討のための追調査の結果、先に試作した尺度の項目内容を検討して因子分析を重ね、臨床の看護実践者15名に提示し、適切であると判断できた20項目に精選した。さらに一部の下位尺度名を修正後、看護教員3名に提示して項目、尺度名ともに支持を得た。さらに看護実践能力との関係について、6-DS改訂版の尺度得点と一要因の分散分析・判別分析を行い、看護師の半数は患者へのリーダーシップと実践能力との2つの側面が相当するが、約4割は実践能力が高い一方でリーダーシップの発揮が少ないことが伺われた。また看護チームでのリーダー役割に関するLP1尺度日本語版については、信頼性がCronbach's α、再調査との相関より内的整合性・安定性共に確認できた。妥当性は、構成概念妥当性がバーンアウト尺度との相関・リーダー役割の有無による有意な得点差により、基準関連妥当性がLOC総得点・6-DS改訂版との相関より確認できたと考えられた。 (B)イギリスでのリーダーシップ研修は、国営であるNHSが統括しており、英国看護協会や各地域の大学と連携してキャリアの各段階や個人の教育ニードに応じて多様な内容が広く受講できるシステムがとられていること、そのため都市や地方の格差なく同等の研修が受けられるシステムであること、またその内容は患者中心の実践をどのように行っていくかという非常に具体的かつ受講者個々の取り組みを求めるものであること等の実態が明らかになった。 上記は発表に向けて準備段階にある。また繰越した(A)・(B)の計画の一部は、次年度に行う協力病院での現任教育プログラムの具体的な実施・評価(C)と共に実施していく予定である。
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