研究概要 |
本研究の目的は外来でがん化学療法をうける患者・家族が,主体的にしかも自己効力を高め治療や社会生活ができるような構造的セルフケア支援の開発を行うことである. 構造的セルフケア支援プログラム開発のため暫定的な支援による効果判定をした。構造的なセルフケア支援は,教育的介入として(1)セルフモニタリング法を利用した副作用症状コントロール法(2)パンフレットでの教育(3)ビデオを用いての副作用対処法(4)電話連絡、情緒的介入として(4)簡易呼吸法の実施指導(5)積極的傾聴である。効果指標は(1)気がかり評定尺度,自己効力感尺度,QOL尺度による調査などで評価した.対象者はA大学病院で初めてのがん化学療法を外来で行う患者であり、対照群は上記(1)(2)のみ群、介入群は上記(1)〜(5)を施行するがん患者である。昨年の介入方法を評価した結果、セルフモニタリング法の目標設定に個別性がなく、介入方法に問題があった。また、質問票が多く、対象者に負担をかけていた。そのためPOMSを簡易版に変更し、対象者も乳がん、消化器がん、婦人化がんにしぼり介入研究をスタートした。 結果、対象群は平均年齢54.8歳、乳がん10名、大腸がん7名、婦人科がん5名計22名、介入群は平均年齢47.7歳、乳がん3名であった。対照群の気がかり評定得点は治療前33.9点、3ヶ月後32.8点であり、自己効力得点は、冶療前8.2点、治療後3ヶ月9.14点、POMSの緊張不安など3ヶ月たつと有意に軽減していた。介入群の気がかり評定得点は治療前30.67点、3ヶ月後27.0点であり、自己効力得点は、治療前10.6点、治療後3ヶ月11.67点であった。気がかり得点は介入群では有意に減少しており介入の効果を示唆する結果となったが、例数が少なくさらに症例数を増加させる必要がある。今後は介入群と対照群の疾患や性別、年齢を合わせデータ収集を行い介入の効果があるか比較検討する必要が示唆された。
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