研究概要 |
ベンチマーキング作成に必要な急性期病院における転倒予測アセスメントツールを検討することを目的とした。本年度は先行研究や米国で得た情報を加味し,研究者らが開発したアセスメントツール項目に検討を加えて,客観的に測定できる急性期バージョンを作成した。つまり,転倒経験,認知レベル,排泄介助の有無,椅子からの立ち上がり,移動レベル,内服薬(抗てんかん薬,精神安定剤,睡眠剤),直感の7項目である。この新しいツールを2つの特定機能病院と1急性期病棟で3ケ月間使用した。また病院における転倒の内部ベンチマーキング指標を探る目的で7つの病院の2006年度の月毎の転倒、転落率,傷害を伴った転倒、転落率について調査した。その結果,アセスメントツールはデータ収集開始時期が遅れ,さらに同意を得られた入院患者の例数が必要とする数に達しなかったことも含めて未だ分析中である。また7病院での転倒率(患者の転倒、転落件数÷延べ患者入院日数×1,000)は平均1.60〜3.37の範囲内であった。傷害を伴った転倒、転落率(患者の傷害を伴った転倒、転落件数÷延べ患者入院日数×1,000)は0.12〜0.98であった。病院間の違いもみられた。これらはいずれも米国の報告(例:Stroke unit 8.5〜12.6)より低い値を示した。この原因として,転倒の定義が各病院で異なっていること,定義のない病院があることと,さらに転倒による傷害のレベルの分け方についても病院によっても異なることなどがあげられた。さらにアセスメントツールに関する分析を深めて検討する必要がある。
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