研究課題/領域番号 |
17592240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
佐々木 綾子 福井大学, 医学部, 助教授 (00313742)
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研究分担者 |
中井 昭夫 福井大学, 医学部, 助手 (50240784)
松木 健一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (10157282)
田邊 美智子 福井大学, 医学部, 教授 (80227199)
波崎 由美子 福井大学, 医学部, 助手 (80377449)
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キーワード | 母性育成 / 虐待防止 / 学習プログラム / 心理学 / 生理学 / 内分泌学 / 脳科学 |
研究概要 |
1.目的 本研究では、母性の育成を促進させる学習プログラムを開発し出産・育児経験のない青年期男女に実施する。さらに、その効果を心理・生理・内分泌・脳科学的に明らかにする。 2.(1)対象者:18〜20歳の出産・育児経験のない未婚の研究参加に同意を得た健康男女各10名計20名(2)データ収集方法:(1)質問紙調査:対象者の特徴・母性準備性尺度(青木)(2)学習プログラムの実施(乳幼児との触れ合い・育児体験):福井県内の保育園で、8か月〜16ヶ月の乳幼児と3か月間、1回/1〜2週、約2〜3時間、継続的にかかわった。(3)心理・生理・内分泌学的評価:触れ合い・育児体験前後に、課題〔乳児の機嫌よい・泣き・関わった園児の保育場面のビデオ〕を提示し、心理学的指標〔STAI日本語版(状態不安)〕、生理学的指標〔心拍パワースペクトル〕、内分泌学的指標(唾液中コルチゾール、血中プロラクチン)により評価した。 3.結果および考察 (1)心理学的評価:乳幼児への好意感情・育児への積極性は体験前より体験後の方が有意に高まった。(2)生理学的評価:「泣き」に対する反応に着目すると、体験前は「安静」時に比べ、「泣き場面」のLF/HF比の変化率は有意に高まり、体験後は減少した。(3)内分泌学的評価:唾液中コルチゾールでは、「笑い」と「泣き」の変化率において体験前の方が有意な差がみられた。これらから、ふれあい体験の中で乳幼児の泣き場面に接し対応するという経験の積み重ねが、母親や父親が経験する相互交渉に類似した変化を被験者にもたらしたことが予測された。 以上のことから、心理・生理・内分泌学的側面で、継続的な触れ合い・育児体験が、体験の積み重ねや乳児との関係性の構築により母性育成に肯定的に影響していることが明らかとなった。これらの結果をふまえ、次年度は同様の方法に加え対照群との比較、脳科学的検討(f-MRI)を実施予定である。
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