研究概要 |
産後の母乳育児継続を予測するスケールを開発し,その有用性を検証した。 本スケール(BFPS)は,母乳育児率が著しく減少する産後1カ月時点までの,母乳育児継続を予測するスケールであり,3領域21項目(母乳育児に影響を与える心理,社会的要因:14項目,母乳育児に影響を与える乳房の形態的要因:3項目,母乳育児に影響を与える母子の基本的条件要因:5項目)からなる。 BFPSの得点範囲は,21点から84点の範囲にあり,本調査者の得点範囲は,23点から57点であった。全体の平均点は41.4±8.2であった。1カ月健診時母乳育児群の平均点は37.5±7.2,混合・人工乳育児群の平均点は46.1±6.7であり,両群には有意(p<0.0001)な差を認めた。 産褥1カ月時に混合・人工乳育児が予測されるCut off pointを42点以上と設定した場合,感度74.4%,特異度76.1%であった。 以上の結果より,BFPSは,産後1カ月までの母乳育児継続が困難な母親を,産褥退院時にスクリーニングすることが可能であり,個別的継続的な支援が行えるスケールである。 今後,母乳育児の継続のために,産後1カ月時に産後4カ月の育児形態を予測するスケール,さらにその後を予測するスケールへと発展して行く予定である。
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