研究概要 |
1.研究目的:低出生体重児発生の動向を地域特性と産科的特性の両面から解析し、それに基づいて、今日の低出生体重児発生の増加に関与する母親のライフスタイルと地域関連因の構造を明らかにし、効果的な母子保健対策を提起する手がかりを得る。 2.研究方法:平成18年度の研究実施は計画に従って、量的調査の解析と質的調査を実施した。解析の対象は低出生体重児(以下:LBWとする)群309名、成熟体重児(対照)群410名である。質的研究では2.0〜2.5kgのLBW8名、極LBWの母親3名であった。 3.結果概要 1)LBW群は正常体重児群より、母親の身長は約1cm低く、妊娠直前の体重は約1.6k軽く、妊娠直前のBMIは「やせ」の割合が高く,それぞれ有意差がみられた(P<0.05)。妊娠37週以降の体重増加量を妊娠直前のBMI別増加量を比較すると、LBW群は「やせ」「標準」共に正常群より1kgが少ない傾向にあった(それぞれ、p=0.09)。 2)地域別比較による心理面の比較は(1)農村部も都市部もLBW群では妊娠合併症「あり」が母体合併症「あり」より出生体重が低かった。(2)LBW群の母親は正常体重児群の母親に比べて、妊娠には肯定的な感情であったが、妊娠経過や子供の発育の不安がストレスとなり、全体的な満足度は低かった。(3)農村部のLBW群の母親は都市部のLBW群の母親に比べて,地域住民、家族のサポート、市町村の育児サービス、保健医療サービス、職場のサポートの認知は高かく、全体的な生活満足度、職場満足度も高かった。しかし、女性や母親の役割を強いられる不公平感と家族団らんや夫との関係には不満が高かった。 3)面接によるLBWの母親は母親同士の交流を求めており、2.0-2.5kgのLBWの母は母乳支援,極LBWの母はNICU,小児科、療育の連携のとれたサポートを求めていた。
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