研究概要 |
1.胎児異常の告知後から出産後(死産も含む)まで継続的に面接を行っている。現在のところ、10名ほどが終了している。面接は個室で行った。面接終了毎に、逐語録を作成し、心理的反応と対処行動についての質的分析をしていく。現在逐語録を作成し、データ(会話内容)整理を行い、質的なデータの分析中である。 この研究における前段階の17年度の成果を下記に示す。 2.胎児異常の告知を受け出産後1年までの母親の悲嘆過程を理解する目的で、胎児異常の告知を受け病児または障害児を出産した母親10名に、一般的な感情体験と病的悲嘆反応を面接で、告知後、出産直後、出産後6ヶ月、出産後1年の4回調査した。結果は、一般的な感情体験および病的悲嘆反応は、告知時に最も多くみられたが、出産後1年ではみられなくなった。告知時に最も高得点であった項目は、一般的な感情体験では「不安な気持ち」、病的悲嘆反応では「児の空想」であった。一般的感情体験得点および病的悲嘆反応得点を子どもの有無で比較すると、有意な差が認められ、子どもがいない人に心理的負担が大きいことが分かった。 3.次に、胎児異常の告知後から産後36ヶ月までの不安および抑うつを理解する目的で,告知を受け児を出産した母親10名に,STAIおよびSDSを縦断的に調査した。対照群として,健常児をもつ母親50名についても産後6ヶ月から産後36ヶ月まで同内容を縦断的に調査した。告知を受けた母親のSTAIの状態不安得点,特性不安得点,SDS得点は,ともに告知時が最も高かった。健常児をもつ母親と産後の得点を比較すると,告知を受けた母親の方がすべての時期,各得点ともに低かったが,変動は大きかった。子どもの有無別で比較すると,告知を受けた母親と健常児をもつ母親の結果は対照的であった(投稿中)。 4.胎児異常児の母親のコントロール群として、健常児の母親の精神状態についても研究を行った。
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