本研究は、不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度を開発することを目的として、(1)「不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度案」(以下尺度案と表記)を精錬する。(2)精錬された尺度案を実際に活用するための指針を提案する、の2つの目標を設定した。なお、平成17年度は目標(1)を達成するために、<尺度案精錬のための準備>及び<尺度案精錬のための調査>を行った。 <尺度案精錬のための準備>として、尺度の妥当性を多面的に検証する方法及び実用化するための具体的手順について検討した。また、ヨーロッパ不妊学会では心理学研究者及び看護実践者と不妊治療を受けているカップルのアセスメントツールに関する情報交換を行った。 一方、<尺度案精錬のための調査>は、研究協力に同意の得られたカップルを対象にインターネット調査法を用いて実施した。調査に先立ち、研究者個人所有の調査専用ホームページを開設した。開設にあたっては、ホームページ管理者及びユーザーの個人情報保護も含めたシステムセキュリティの確保、アクセス数を増やす方略の検討、アクセシビリティの保証、レンタルサーバーの契約など、専門家からコンサルテーションを受けた。その上で、研究協力者に回答結果及びそれに合わせたアドバイスがフィードバックできるシステムを持ったホームページの作成を業者に委託した。一方、研究協力者を募るため、「日本産婦人科学会」に体外受精実施施設として登録している医療施設及び自助グループへ研究協力依頼を行った。 平成18年度も引き続き調査を行い、回収されたデータの分析をもとに尺度の信頼性及び妥当性の検討を行う予定である。さらに、その結果と文献検討をもとに、尺度の実用化へ向けてより簡便な尺度にすると共に、査定の基準値を設定する。さらに、尺度を実際に臨床活用するための指針を検討する予定である。
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