本年度の"目標(1)「不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度案(57項目版)」を精錬する"を達成するために、平成17年度に引き続きインターネット調査を行った。調査期間中、専用サイトへのアクセス者の中で研究に協力してくれた593人を対象に分析した。「親密さ尺度案(57項目版)」の信頼性及び妥当性が支持されていることを確認後、「親密さ尺度案」の精錬を行った。文献検討並びに尺度開発の専門家の意見を交え、I-T相関、主成分分析、因子分析を用いて質問項目数を減らしていった結果、「親密さ尺度(37項目版)」ができあがった。37項目版は、α係数が全体で0.96、【基本的信頼の実感】【性的満足感】【自己表出】【共に治療に取り組むこと】【悲しみの分かち合い】の5下位尺度においては0.85から0.94の範囲であり、内的整合性による信頼性は支持された。妥当性についても、基準関連妥当性、仮説検証法並びに因子分析法による構成概念妥当性が支持された。検証的因子分析を行ったところ、GFI0.905、AGFI0.876、RMSEA0.066、AIC675.5であり、モデルの適合度は納得できるものであった。 "目標(2)精錬された不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度を実際に活用するための試案を提案する"を達成するために、これまでの分析結果と文献検討をもとに、「不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度」を実際に活用するための指針案を作成した。合計得点並びにカテゴリー得点に準じて、ホームページを介して回答者にフィードバックできるようなものである。この指針案の妥当性を検討するために、不妊看護のエキスパートと検討会を開催し、精錬した。また、今後ホームページに掲載するために、不妊治療を受けているカップルへの診断結果の示し方等についても検討した。今後、作成した指針の普遍性を検討することと情報発信するために、来年度開催されるICM及び日本生殖看護学会で研究成果を公表する予定である。
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