日本の初発および再発乳がん患者に対して有用であった(Fukui et al. 2000 ; Chujo et al. 2005)、ストレス対処法や問題解決法についての教育、グループ討論、漸進的筋弛緩法の3部構成の心理・社会的介入を実施し、日本のファシリテーターがどのように介入しているのか、その介入形式を検討することを計画した。 5回分(計30セッション)のグループ療法を質的に分析した結果、経験者・新人のファシリテーターの介入形式として、共に「精一杯さ」、「ファシリテーター技術」、「グループ全体の和」、「治療者同士の協働」が抽出された。そのうち、「精一杯さ」と「ファシリテーター技術」、「治療者同士の協働」の内容には、若干の差があった。「精一杯さ」には<なす術がない>、<治療者の立場を防衛する>、<介入のピントがずれる>があったが、その裏に秘めているというポジティブなファシリテーターの基本姿勢に焦点を当てて命名した。「ファシリテーター技術」には<進行する>、<代弁する>、<内省を促す>、<守る>、<ありのままの自分で対峙する>、<プレゼンス>、<文脈を読み取る>、<テーマに戻す>、<技を織り成す>があった。このうち、<技を織り成す>は、経験者ファシリテーターだけにあった。「グループ全体の和」には、<動向を見守る>、<交流を促す>、<支えあいを強化する>があった。「治療者同士の協働」には、経験者と新人では、協働の仕方が異なり、経験者には<役割を補い合う>があり、新人には<サポートを求める>があった。 今回の結果からは、「精一杯さ」という基本的姿勢を持った上で、「ファシリテーター技術」「グループ全体の和」「治療者同士の協働」それぞれが共存する構造になっていた。これら4つの介入形式は、参加者らが円滑に話し合いをするグループダイナミクスに関わり、参加者らのQOLの変化に寄与する構造をなす、グループ介入に必要な介入形式であると考える。この結果を元に、どの程度の介入技術があれば、参加者のQOL向上に寄与できるかを知るための尺度開発をすれば、グループ介入の発展、参加者のQOL向上に寄与することができる。
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