2004年から2007年度にかけて、医療的ケアを受けた重症心身障害児(者)(以下重症児)をもつ母親の「外傷後ストレス障害(以下PTSD)」に関する体験と、そのケア開発の研究を行った。 本研究の第一段階では、治療や診断による親のPTSDを明らかにするための文献検討を行った。その結果、治療によるPTSD/PTSS/Traumaは母親に現れることが明らかにされていた。 第二段階では、文献検討をもとに、医療的ケアを受けた重症児の母親の治療による「外傷後ストレス障害」を明らかにするために、ライフストーリー法を用いて、母親を対象とした質的研究を行った。その結果、母親は、心的外傷を医療的ケアの必要性の告知により体験していた。また「医療的ケア決断の時」「医療的ケアの評価」医療的ケア導入後の介護」の場面において、心的外傷体験の影響である「無力感」「加害意識」「罪悪感」「孤立無援感」が現れていたことが明らかになった。 心的外傷予防と影響からの回復へのケア開発のために、医療的ケアを体験した母親にフォーカスインタビューを行い、「準備性をもつ」「安全感を得る」「承認をうける」に関するケアが必要であることを抽出した。これらをもとに、医療的ケアが必要な重症児を介護する親の「外傷後ストレス障害」へのケアを開発した。
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