研究概要 |
1.文献研究 (1)目的:国内の10代妊婦に関する看護領域の研究動向を明らかにするために、現状と課題に焦点を当て調査した。 (2)方法:医中誌と最新看護検索で,キーワード「未成年者妊娠、若年初産婦,10代妊娠、思春期妊娠」で検索した。 (3)結果:RCTやコホート研究は皆無であり,臨床統計や報告に限られ,心理・社会面に焦点を当てた研究は少ない。 (4)成果:(1)小川久貴子,恵美須文枝,安達久美子:10代妊婦に関する研究の動向,日本助産学会誌,18(1),52-63,2005.(2)小川久貴子,恵美須文枝,安達久美子:10代妊婦に関する研究内容の分析と今後の課題,日本助産学会誌,投稿中. 2.北米の実態調査 (1)目的:北米における10代妊婦及び若年母に対する支援の実態を把握し,明らかにする。 (2)方法:2005年9月に,ポートランド及びロサンゼルス近郊の施設((1)Children's Hospital Los Angeles,(2)Insight Teen Program,(3)Rowland Unified School Districrt, (4)Coronado High School)や学会を視察。施設長の許可を得て,インタビューや撮影を行なった。 (3)結果:(1)教育機関:情操豊かな安定した環境で,同じ問題を抱えた仲間と教育を受ける機会を提供。10代妊婦は,一般科目に平行して,毎日1回の授業を受け,妊娠や分娩の経過・ラマーズ法・産後の心身の復古・育児等に関する知識とその技術を学ぶ。(2)地域民間団体:ソーシャルワーカーを中心に,親教育・DV教育・子どもの発達支援・虐待の疑いのあるケースへのカウンセリング等のプログラムを提供。(3)支援効果:,高校卒業要件を取得し,就職する者も多い。基本理念として親となるための肯定的感情の育成,さらに自立を促している。 (4)成果:(1)小川久貴子,恵美須文枝,安達久美子:北米における10代妊婦及び若年母の支援に関する実態,第15回日本保健科学学会学術集会発表,抄録集17,2006. (2)安達久美子,恵美須文枝,小川久貴子:若年母への対応のあり方の検討-北米における支援組織メンバーの視点から-,第15回日本保健科学学会学術集会発表,抄録集17,2006. 3.10代妊婦への面接調査 (1)目的:10代妊婦の心理・社会的な状況を明らかにするために,面接調査を行なう。 (2)方法:3名の10代妊婦に,研究趣旨を説明し同意の得られた者に,妊娠期2回・産褥期1回・1ヶ月後に面接実施。 (3)経過:10代妊婦の多様な心理・社会的状況が明らかになりつつあるが,今後も調査例数を増やして継続実施する。
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