研究課題
本研究は、重症心身障害児・者の父親の障害受容とその支援方略に関する研究である本年度は、障害児・者をもつ父親への自由記述式アンケート調査(一部選択肢を含む)、および面接調査を並行して行った。アンケート調査は、障害児・者の父親99名に行い回収率は34.3%であった。最も多かったのは、父親は子の障害が判明した時点で「これからどうなるのか、子の将来に対する不安」であり、次いで「ショックを受けたがすぐに頑張って育てなければならない」、「自分への試練である」であった。また、自由記述では「子の障害について十分な説明がなく、障害の内容が理解できなかった」、「障害を受け入れてゆっくり生きていく」であった。子の障害に対する現在の気持ちは、「将来に対する不安がある」、「すべてを受けいれ子との生活を大切にする」。養育上で嬉しいことは「子に笑顔が見られた時」、「子の成長を感じた時」などである。辛いと思うときは「社会の人々の偏見」、「障害への無理解」、「自分の体力が低下し子の世話ができない」、「子の将来が不安である」、「妻をサポートしなければならない」、「夫婦だけのことを考えられない」であった。障害のある子をもつことで「自分自身が変化した」と答えた父親は過半数いた。変化のきっかけは、「子が必死で生きていると感じた時」、「子の障害が理解できた時」であった。変化内容としては、「他者に思いやりややさしさがもてるようになった」、「父親としての自覚はもてるようになった」、「すべてを受け入れている」などであった。筆者は、これまでに母親の心情についての調査を行っており、今回の調査により、母親の言葉を通して語られる父親像とは、また異なった父親の実態が見えてきた。父親は、概ね子の障害を受け入れ、子との生活を大切に考えている。さらに子の養育を通して人間の根源的なものを開眼している。しかし、親亡き後の子の将来に対する不安は大きい。このことは福祉思想や制度の立ち後れからくるものと考えられる。現在、父親への面接調査を続行中である。面接調査からさらに具体的詳細を把握したい。
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日本看護福祉学会誌 第12巻第2号
ページ: 103-113
ページ: 1-12
第26回日本看護科学学会学術集会講演集
ページ: 396
日本重症心身障害学会誌 第31巻第3号
ページ: 283-287