まず、研究実施計画について川崎医療福祉大学倫理委員会の審査を受け承認を得た後、幼児以上の口唇口蓋裂児を持つ母親に対して倫理的配慮に基づいた研究協力の募集を行った。募集は、17年7月〜18年3月までの間に岡山県、大阪府、福岡県の医療機関3箇所で行い、ポスターの利用や研究者が直接専門外来に参加し看護者として関わる中で理解、協力を得られる関係を作った上で実施した。 その結果、23名が研究協力者として申し出があり、現在、インタビューは岡山県、福岡県、広島県、山口県、島根県、大阪府在住の母親20名に対して実施した。 現段階では、口唇口蓋裂の子どもを持つ母親が社会から受けた心的外傷について言葉、態度のレベルで抽出、それを乗り越えた方策について(1)医療者との関わり、(2)社会との関わり、(3)患児の回復、(4)自己の成長、(5)家族の成長の視点から分析を開始したところである。また、先行研究の文献分析を行い、これまでに口唇口蓋裂児の家族を取り上げた研究、特に質的研究が非常に少ないこと、そのため心的外傷となる言葉や態度、それを乗り越える方策についての記述も少ないことがわかった(学会誌に投稿中)。 今後、母親の希望時間を優先しながら予定されたインタビューを実施して行くと共に、家族に対するインタビューを追加して行く予定である。そして、研究者で分析を行うことで、心的外傷となる言葉や態度を明らかにし、それを乗り越える方法について明らかにしていきたいと考えている。
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