研究概要 |
本研究は1)産後1年間の初産婦の母親の経時的な対児愛着の変化,2)対児愛着と母親の背景・特性及び育児ストレス状態やストレス対処能力との関連を明らかにする目的で,F市産科クリニックで出産した母親を対象に倫理的配慮を元に対面及び郵送調査を行った.平成17年2月〜19年2月の期間中,対象者総数2497名,回答数2133名(85.4%).調査期間中の対象母親総数591名(実人数).各調査時期における初産婦の母親数は,妊婦(32〜40週)145名,退院時298名,産後1ヵ月時290名,3ヵ月時147名,6ヵ月時133名,1年時114名であった.初産婦の母親の平均年齢28.9±4.4歳(17歳〜40歳).初産婦の母親の対児愛着感情得点は退院時2.3±2.2点(0〜12点),1ヵ月時1.7±2.0点(0〜12点),3ヵ月時1.1±2.0点(0〜14点),6ヵ月時1.3±2.0点(0〜10点),1年時1.7±2.4点(0〜13点).SOC得点は妊婦61.9±10.7点(18〜90点),退院時64.5±11.9点(28〜91点),1ヵ月時69.6±11.5点(17〜91点),3ヵ月時66.5±13.5点(23〜90点),6ヵ月時67.7±13.1点(24〜91点),1年時68.4±12.7点(33〜89点).EPDS得点は退院時5.5±3.6点(0〜22点)高得点率(9点以上)16.0%,1か月時4.3±3.2点(0〜19点)高得点率9.3%,3ヵ月時4.4±3.1点(0〜13点)高得点率10.9%,6ヵ月時4.4±3.2点(0〜21点)高得点率12.0%,1年時3.8±2.8点(0〜14点)高得点率8.8%.日常生活でストレスを感じている初産婦の母親の割合は3ヵ月以降に半数を超えた.今後は分析を進め,初産婦の母親の育児におけるストレス対処と対児愛着感情形成の関連性を明らかにしていく.
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