今年度は研究初年度であるため、研究者間の打ち合わせ、研究にかかわる調査用紙・文書の作成を行った。山形大学医学部倫理委員会による倫理審査を経て、山形県内の訪問看護ステーションに在宅人工呼吸器使用患者およびその介護者紹介の依頼を行い、承諾を得た。そして、3名の在宅人工呼吸器使用患者の介護者に研究参加についての説明を行ったが、拒否された。そこで、まずは在宅人工呼吸器使用患者および介護者の現状を知るために、東北地方の訪問看護ステーション433箇所を対象とした在宅人工呼吸器使用患者の利用状況および介護状況に関する郵送調査を実施した(回収率は46.6%)。その結果、38.3%のステーションがALS等で人工呼吸器を使用している患者(1つのステーションにつき平均1.9人)を受け入れていた。主介護者は配偶者が最も多く、介護協力者として医療者以外に吸引を実施しているのは、他の同居家族、ヘルパーであった。訪問看護師が介護者の身体的・精神的健康状態を非常に不良と認識しているケースは少ないが、ほとんどのケースで訪問看護師は介護者のメンタルヘルスを重要視した支援を心がけていた。レスパイトケアが多くの場合計画されていたが、ショートスティ中も付き添いが必要になり介護者の休養がはかられないこと、患者本人と在宅ケアスタッフの信頼関係がうまく構築されずスタッフの訪問中も患者が介護者に依存的であるなど、レスパイトケアそのものの困難性を訪問看護師は実感していた。
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