研究課題/領域番号 |
17592287
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小泉 美佐子 群馬大学, 医学部, 教授 (50170171)
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研究分担者 |
内田 陽子 群馬大学, 医学部, 講師 (30375539)
新井 明子 群馬大学, 医学部, 助手 (30344930)
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キーワード | 尿失禁 / 要介護高齢者 / 尿失禁ケア / 排尿パターンモニタリング / 機能性尿失禁 / アクション・リサーチ / パターン排尿誘導 |
研究概要 |
病院や老人介護施設に入院・入所の要介護高齢者における尿失禁と付随して生じる問題の改善を意図して研究者と病棟スタッフが共同して取り組むアクション・リサーチにより尿失禁ケアプログラムの有用性を検討した。ケアプロセスは、(1)病棟から患者を照会、(2)独自に作成の尿失禁アセスメント票も用いたアセスメント、(3)排尿パターンのモニタリング(排尿時刻・排尿量・残尿量・飲水量等の測定)を連続3日間実施、(4)アセスメントとモニタリングデータから排泄に関する看護診断を行う、(5)ケアカンファレンスを開催して患者の問題を共有、排尿パターンに沿ったトイレ誘導(パターン排尿誘導)等のケアプランを立案、(6)2か月間計画を実施、(7)尿失禁回数やケアプランの目標達成度から評価するから成る。モニタリングを実施した3事例のうち、改善が見込めると判断しケアを遂行したのは次の1事例であった。 80歳、女性、糖尿病に脳梗塞を発症、右片麻痺に運動性失語症を有する。介入前1週間は日に12回の誘導で失禁回数は平均3.1回、失語症のため尿意は不明で失禁の不快からか時折大声で泣く。看護診断は、「機能性尿失禁に切迫性尿失禁の可能性;失語症によりトイレ欲求を伝えられず誘導のタイミングが合わないと失禁する」とした。10回/日のパターン排尿誘導に、誘導の都度、尿意や失禁の有無を自覚させる言葉がけをして、適切な排泄行動に賞賛を与える行動療法(排尿習慣の再学習)を計画実施した。結果、尿失禁は平均2.5回に減少し、トイレ誘導の声かけにうなずきや首振りで意思表示するようになった。結果から考慮した排尿ケアプログラムの有用性が確認できた。ケアスタッフは一連のケアプログラムに積極的に参画し、改善した患者の反応をケアの成果ととらえていた。ケアプログラムの推進にはアクション・リサーチのアプローチが有効であることが明らかとなった。
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