研究概要 |
平成19年度は,千葉県内のデイサービスを対象にした質問紙調査と訪問看護ステーション利用者宅からの試料採取を行なった。デイサービスの質問紙調査では,質問紙を送付した184ケ所のうち115ケ所(回収率62.5%),職員531名より回答を得た。ペットを飼育していると回答したのは21施設(約22%)で,イヌと金魚などの魚類が多くを占めていた。飼育は職員あるいは,職員と利用者が交代で担当しているケースが多かった。動物と擦れ合う機会を設けている施設は10%程度であった。 回答した職員の約70%は介護福祉士、ヘルパーで,人畜共通感染症の認知度は約20%と昨年度実施した訪問介護,訪問看護と同様であったが,職種別では看護職に比べて介護福祉士,ヘルパーで低い傾向にあった(p<0.001)。アレルギーの認知度は約85%で,訪問看護,訪問介護よりも低かった。手洗い等の感染防止対策の実施状況は,訪問介護,訪問看護よりも少なかった。ペットに関する困った体験,問題点を感じた職員は訪問介護,訪問看護に比べ,かなり少なかった(p<0.001)。ペット飼育の利点については,利用者の「癒し」の他「職員と利用者の共通の話題」をあげていた。デイサービスでは,世話に手がかからず,利用者と直接接触する機会がないペットを飼育している場合が多く,飼育に職員が関わっていることが影響しているものと思われた。 訪問看護利用者宅からの試料採取は,室内犬を飼育している利用者宅1件,ネコを飼育している利用者宅1件から行い,ペットの飲み水やえさ容器などペットとの接触の頻度が高い部位からはペット由来と推測される微生物が検出されたが,病原性は低く,また利用者に対する影響は認められていなかった。
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