目的 本研究は、地域保健および行政システムが変化する時代に対応して、基礎教育から一貫した継続教育システムを構築するために、保健師の専門職務遂行能力に焦点をあて、到達が期待される専門職遂行能力の内容とそのレベルを発達期別(基礎教育終了時、5年目、10年目、20年目)に、保健所と市町村別に明らかにすることを目的とした。 方法 1)本調査の実施 都道府県庁および7都道府県の保健所と市町村に勤める、実務経験10年以上の保健師と事務職を対象とした。全国を7ブロックに分け抽出し、都道府県庁47、保健所85、政令指定都市14、市146、町202、村29の計523箇所2902人に質問紙調査票を郵送で配布した。有効回答数は保健師852人、事務職285人、総計1、137人(有効回答率39.2%)であった。 調査項目は、基本属性、経験年数別の保健所および市町村保健師に求められる実践能力のレベルであり、そのレベルは経験年数10年目を基準に、「理解できる」、「指導下でできる」、「1人でできる」、「指導できる」の4段階に分け記載してもらった。 2)分析 分析は、回答者を保健師と事務職の2つに分け二群比較した。統計手法はMann-WhitneyのU検定を用い・有意水準は0.05%未満とした。 3)倫理的配慮 対象者個人のプライバシーの保護および調査への参加の任意性を保証するため、回収は個人単位で、直接大学宛に郵送とした。 結果 5年目、10年目の保健師の地域支援能力、行政能力、管理能力に対して、事務職は保健師職よりも高い期待をしていた。対人支援能力に関しては、両職種に大きな差はなかった。
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