目的 地域保健および行政システムが変化する時代に対応して、基礎教育から一貫した継続教育システムを構築するために、保健師の専門職務遂行能力に焦点をあて、到達が期待される専門職遂行能力の内容とそのレベルを発達期別(基礎教育終了時、5年目、10年目、20年目)に、保健所と市町村別に明らかにすることを目的とした。 結果および考察 質問し調査を行い、保健師と事務系職員1137人の有効回答を分析した。自立を基準とした保健師実践能力尺度で、保健師の卒業時には理解ないし指導下でできるレベル、5年目には指導下でありながらも1人でできるレベル、10年目には1人でできるレベル以上、20年目には指導できるレベルの実践能力が期待されていた。5年目、10年目の保健師に対し、事務系職員は保健師よりも高いレベルの実践能力を期待する傾向にあった。特に地域支援能力、施策能力、管理能力でその傾向が見られた。また、保健所保健師と市町村保健師に期待される到達レベルに大きな差はなかったが、保健所保健師のほうが早い時期に指導できるレベルが期待されていた。 本研究の結果、保健師は5年目には1人で実践していくことが期待されていたことから、早い時期から専門性の発揮が求められていると考えられる。事務系職員は、保健師は中堅期には自立して実践できるととらえており、、地域支援能力、施策能力、管理能力を獲得する難易度に対し、保健師と事務系職員の考えに違いが推察される。保健活動の展開において事務系職員との連携、協働が必須であることから、今後、保健師の能力獲得に対し両者の共通認識が図ることが重要である。
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