本研究の目的は、住民と専門職の視点から、コミュニティ・エンパワメントがめさす状態像とその過程を明らかにし、コミュニティ・エンパワメントの評価指標を開発することである。今年度、住民によるコミュニティ・エンパワメント評価指標を開発した。 方法は、1)評価指標原案の作成と、評価指標の信用可能性の検討であった。評価指標は、住民組織構成員による住民組織のコミュニティ・エンパワメントの評価指標とした。評価指標は、保健専門職によるコミュニティ・エンパワメント過程質的評価指標を基に作成し、住民組織の状態についてふりかえる大項目3つ、小項目15から構成された。 対象は、地域で住民組織の活動を継続して行っている住民とした。調査は、2回行った。1回目調査は、評価指標原案を用いての住民組織の評価と、評価指標への意見収集を行った。2回目調査は、1回目調査に基づき、改定した評価指標を用いた住民組織の評価と評価指標への意見収集を行った。 結果:1回目調査の対象の特徴は、A町B会のリーダー9名であった。回答は、9名から得られた。評価指標の15項目の重要性を尋ねたところ、15項目中13項目で、「たいへん重要である」「まあまあ重要である」 の割合が5割を超えていた。割合の低い2項目については、文言を修正した。2回項目調査の対象は、C町D会のメンバー11名であった。回答は、11名から得られた。評価指標の15項目の重要性の尋ねたところ、15項目中14項目で、「たいへん重要である」「まあまあ重要である」の割合が5割を超えていた。割合の低いかった項目は、「私たちの組織は、地域の人々や関係機関への問題提起や保健計画への参加をしている。」であった。 考察:本評価指標は、住民組織構成員による住民組織の状態をコミュニティ・エンパワメントの視点から評価する指標として開発され、信用可能性が確認された。今後、実践への適用が可能になるための改善が求められる。
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