本研究は、精神保健・難病対策・感染症・虐待など、継続的な支援を必要とする対象本人・家族に対して、より専門的・技術的な機能でもって援助提供する家庭訪問援助の特質と、その実践能力の明確化に取り組むものである。 調査項目は、(1)看護職の意図、(2)看護職の行為である。看護職の意図は、家庭訪問援助再現記録をもとに記述する。看護職の行為は、看護職の意図が方向づける看護職の行為を看護職の意図に対応させて記述する。研究対象は、熟練看護職による家庭訪問援助過程を研究対象とする。 本年度は、より専門的・技術的な機能による家庭訪問援助事例として、特に精神保健1事例・難病1事例・児童虐待2事例の対象本人・家族に対して行われた家庭訪問援助過程の記述を、保健所及び市町村保健師から収集した。家庭訪問の対象者に対して看護援助を提供した熟練看護職に、自身の看護援助再現記録を記述してもらった。 現在、研究者がその記述内容を理解するために、4名の看護職にインタビューを重ねているところである。研究者が加筆・修正したデータは、情報提供看護職と研究補助者に文章推敲・調整をしてもらい、さらに研究者が確認するというやりとりを重ねる。これら4事例の分析については、この分析段階にある。児童虐待の事例分析から、家庭訪問の対象者と関係形成し可能性を見出すこと、関係機関・職種との情報共有を志向し巻き込もうとすること、予防的な観点で養育者・家族の持っ育児能力を見極めながら、セルフケア能力を高められるよう支援することの重要性が示唆された。 難病の事例については、市町村保健師による短期間(1年間12回)の事例であったので、保健所保健師による、少なぐとも2〜3年の経過にある対象本人・家族に対して行われた家庭訪問援助という研究対象を選定しなければならない。結核など感染症の事例と共に、情報提供保健師を探し、さらにデータ収集する。
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