本研究は、「薬物依存症に罹っている人(以下、薬物依存症者)に半構造化インタビューを行い、その語りを分析・記述し、薬物依存症からの回復過程における適切な援助について明らかにすること」を目的とする質的・帰納的研究である。本年度は、対象者へのアクセスとデータ収集を主とした計画を立案し、以下のように実施した。 インタビューには、回復過程における困難な出来事に関する問いも含まれ、インタビュー参加者が、過去の辛い出来事のフラッシュバックを引き起こす可能性もある。従って、インタビューがインタビュー参加者の回復過程に悪影響や危険を及ぼすことを予防するために、協力を依頼する薬物依存症回復支援施設との連携を図りながら、インタビュー調査を進めた。 まずは、2か所の薬物依存症回復支援施設の責任者(ピア・スタッフ)に研究への協力を求めた。そして、回復支援施設等での回復支援活動に参加しながらフィールドワークを行った。さらに、ピア・スタッフの協力を得ながら、半構造化インタビューを行った フィールドワークでの観察や非公式インタビューから得られた内容は、補助データとして記録した。本研究の分析対象データとしては、10名の薬物依存症者にインタビュー参加への同意を得て、半構造化インタビューを行った。インタビュー内容は、参加者の許可を得て録音した。 現在、録音されたデータの繰り返しの視聴及び逐語記録を作成し、分析・解釈を行いながら、フィールドワーク及びインタビューを進めている。
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