研究課題/領域番号 |
17592313
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
瀧尻 明子 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (70382249)
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研究分担者 |
植本 雅治 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (90176644)
松葉 祥一 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00295768)
川口 貞親 九州大学, 医学部保健学科, 講師 (00295776)
小川 晃 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (70326320)
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キーワード | 高齢者 / 社会的孤立 / うつ傾向 / 生活困難 / 情報不足と誤認 / 人材・資源の充実 / 連携体制 |
研究概要 |
1.在日ベトナム人高齢者に対する調査 ベトナム人集住地域であるK市N区周辺在住の60歳以上のベトナム人を対象とし、ベトナム語に翻訳した調査用紙をもとに通訳同席の面接法で調査を行なった。調査項目は、基本属性、主観的日本語能力、社会経済的状況、健康状態、日常生活動作、GDS短縮版によるうつ傾向の評価、保健福祉サービスに関して有する情報とその利用状況とした。10件の調査の結果、対象の平均年齢は69.5±5.7歳、男女比はほぼ1:1、来日してからの平均年数は18.7±5.6年、半数が夫婦二人で暮らす老老世帯であった。日本語能力は会話、読み書きともに低く、日常生活に大きな困難を抱えていた。現在就労している人はなく、全員生活保護を受給中であった。殆どが何らかの健康上の問題により医療機関を利用しており、服薬の中断や受診拒否もあった。GDS短縮版の得点の平均値は5.1±3.3点であった。保健福祉サービスを現在必要とする人はないが、十分かつ正しい情報が乏しく、利用に対して拒否的な回答が目立った。相談する対象は家族に限られていた。 2.在日ベトナム人を支援する保健医療福祉従事者に対する調査 ベトナム人支援の経験を持つ人10名に対して半構造化面接を行い、面接内容を逐語化し、類似する文脈を分類した。調査協力者の職種は社会福祉士、MSW、医師、助産師だった。10名中6名が女性、年齢は34〜57歳、経験年数は1〜28年であった。主な支援内容は役所の書類記入補助、病院の紹介、住居紹介や入居手続き補助、診療・看護行為、担当機関との連絡調整や折衝、近隣の苦情処理など多岐に渡っていた。困難と感じることは言葉の壁、文化や価値観の違い、法の枠あるいは未整備、人材や資源の不足であり、今後質の高い通訳者、公的機関に勤務する人への外国人支援教育体制の充実、各機関の連携体制などの資源や施策が必要であると指摘された。
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