研究課題
基盤研究(C)
産後うつ状態にある女性を対象にした精神保健看護の介入モデルを開発し、産後早期における介入効果を明らかにすることを目的として、Randomized Controlled Trial(RCT)をデザインとする研究を行った。A県内8つの病院に協力を得て、産後1ヶ月時にうつ状態に関するスクリーニング調査を実施し、867名から回答を得た。そのうち今回の研究対象の条件に適合した18名を介入群とコントロール群にランダムに割り付けた。すべてのトライアルを完了したのは介入群7名、コントロール群9名であった。介入群には、60分の精神保健看護の介入を、週に1回の頻度で4回、家庭訪問によって実施した。介入群、コントロール群ともに、(1)介入開始前、(2)4回すべての介入終了時期、(3)介入終了時期後から1ヶ月目に、6つの測定尺度を用いて介入効果を評価した。また介入群には、介入の満足度と意味について自由回答を含む質問票で尋ねた。得られた結果は次の通りである。1)介入群では抑うつレベル、社会的機能レベル、QOLについて、介入前よりも介入後に有意な改善がみられた、2)介入後のセルフケアレベルについて、介入群はコントロール群よりも2つの項目で有意に高いレベルを示していた、3)母親仲間から実際に受けているサポートについて、介入群は介入前よりも介入後に有意に向上していた、4)介入後の子への愛着レベルについて、介入群はコントロール群よりも有意に高かった、5)介入群は7名とも本介入に満足し、介入を受けた意味を感じていた。以上の結果から、産後うつ状態にある女性への精神保健看護の早期介入は、抑うつレベルを改善し、セルフケアレベル、社会的機能、Quality of Lifeを向上し、さらに母親仲間から実際に受けているサポート、および子への愛着を強める効果があると考えられた。
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兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 14
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第26回日本看護科学会学術集会講演集
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