研究分担者 |
加藤 基子 名古屋市立大学, 看護学部・研究科, 教授 (60290053)
宮内 清子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (20239346)
柴 珠実 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助手 (60382397)
池田 学 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部・脳機能病態学分野, 教授 (60284395)
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研究概要 |
【目的】四国の中山間地において,既存の地域ケアシステムを再構築し、初期認知症者とその家族介護者をエンパワーするプログラムを開発すること。 【方法】初期認知症者へは認知リハビリテーションを応用したグループアクティビティ,家族介護者へはコーチングとカウンセリングによる教育・相談を行う。計画・実施・リフレクションを繰り返すアクションリサーチによってプログラムを改善し、その過程を質的に分析する。 【結果】エンパワーの焦点は,個人レベル・グループレベル・コミュニティレベルへと進展した。第一サイクルにおける初期認知症者への介入焦点は,個人の手続き記憶を活用してスキルを回復し,自信を取り戻すことであった。参加者は料理活動を通じて目的を達成した。第ニサイクルでは参加者同士や家族との関係づくりを目指した結果,共通の話題や家族を巻き込む作業課題でコミュニケーションを促進することができた。また,神社仏閣への探訪で参加者の信念や価値の表出を促した結果,若いスタッフの尊敬を回復し自尊感情を高めた。第三サイクルでは,回復したスキルを生かして地域行事や文化的活動へ参画することで地域の人々と対等の形で交流することができた。 介護者への社会資源の情報や知識の提供は,認知症の症状や行動を理解することを助け,介護保険の利用開始を促進した。本人や家族の必要性に応じて提供された面接や電話相談は,介護者の対処を促し,行動の問題化を減少させ,良好な家族関係を維持することができた。 【結論】認知リハビリテーション理論は失われつつある手続き記憶を回復し,初期認知症者が自信を取り戻すのに役立つ。家族介護者へはコーチング技術を用いた電話相談をタイムリーかつ継続的に行うことで,介護者の問題解決型コーピングを促進することができる。初期認知症高齢者とその家族介護者の両者をエンパワメントすることを目的とした地域介入を行うことが重要である。
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