本研究は、地域で生活している難病状態にある個人と家族を支援するための看護活動の実態を明らかにし、系統的な看護活動分類を構築することを目的としている。 <研究方法> 看護介入、地域看護活動、難病患者と家族への看護活動に関する文献を分析して得られた理論的枠組みを用いて、「在宅で療養している難病をもつ患者と家族に対する保健師・訪問看護師の看護活動に関する調査票」を作成して実態調査を行った。18保健所・76市町村に対して調査票を配布し、234名(61.4%)の保健師から有効な回答が得られ、174訪問看護ステーションに対して調査票を配布し、274名(33.7%)の訪問看護師から有効な回答が得られた。得られたデータは、統計的に分析した。 <結果> 分析の結果、難病患者・家族に対する支援活動の実施について、保健師が重要であると認識していながら実施できていない注目すべき「支援領域」は、【療養生活】であり、病気系、生活系の看護活動であった。また、訪問看護師が重要であると認識していながら実施できていない「支援領域」は、【療養生活】・【病気理解】であり病気系の看護活動であった。また、因子分析の結果を基にして地域看護活動の構造化について検討した結果、「11の包括的看護活動」が得られ、「難病と共に生きる患者・家族に対する地域看護活動」の構造が明らかになった。「11の包括的看護活動」は、85の看護行為と27のサブカテゴリーから構成されていた。 <考察> 実態調査の結果から、難病患者・家族を対象にした保健師活動の課題と方向性について示唆を得た。また、抽出された因子が持つ意味や特性について検討し、「難病と共に生きる患者・家族に対する地域看護活動」の構造と分類が明らかになった。これらの成果は、地域看護の実践、教育、研究に貢献できる可能性があると考えられた。
|