脆弱性を有する個人と家族への看護介入について研究するにあたり、難病患者と家族を対象者とした。 本研究は、地域で生活している難病状態にある個人と家族を支援するための看護活動の実態を明らかにし、系統的な看護活動分類を構築することを目的とする。理論的枠組みに基づいて、調査票を作成して実態調査を行った。得られたデータを統計的に分析した結果、(1)難病患者、家族に対する支援活動の実施について、保健師は[グループを対象にした支援]と[地域を対象にした支援]の得点が有意に高く、訪問看護師は[患者を対象にした支援]と[家族を対象にした支援]の得点が有意に高かった。また、保健師が重要であると認識していながら実施できていない注目すべき「支援領域」は、【療養生活】であり、「11看護活動」は病気系、生活系の看護活動であった。また、訪問看護師が重要であると認識していながら実施できていない「支援領域」は、【療養生活】・【病気理解】であり、「11看護活動」は、病気系の看護活動であった。(2)因子分析の結果、11の看護活動が得られ、「難病と共に生きる患者、家族に対する地域看護活動」の構造が明らかになった。11看護活動は、85の看護行為と27のサブカテゴリから構成されていた。これらの実態調査の結果から、難病患者・家族を対象にした保健師活動の課題と方向性について示唆を得た。また、抽出された因子が持つ意味や特性について検討し、「難病と共に生きる患者・家族に対する地域看護活動」の構造と分類が明らかになった。これらの成果は、地域看護の実践、教育、研究に貢献できる可能性があると考えられた。
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