研究課題
基盤研究(C)
研究目的は、(1)近年、世界的に深刻な社会的・保健医療福祉教育上の問題として早急な対応を要するこども虐待の第1次、第2次、第3次予防の理解を深めること、(2)地域(沖縄)および全国的なこども虐待予防に関する学習共同体を形成し、看護研究の必要性と看護職の特殊な役割を明確化すること、(3)看護教育のこども虐待に関する教育内容を体系化することであった。研究方法はアクションリサーチであり、(1)こども虐待予防の多職種連携実践と教育方法を学ぶための招聘講演とワークショップ、(2)対象地域における都市化とこどもの保護者の養育行動に関する時代差の実態調査、(3)看護職を含むこども虐待予防関連職種の教育的ニーズの実態調査であった。主たる成果は以下のようであった。(1)地域住民のニーズとして、調査対象とした乳幼児の保護者の養育行動は約20年前と比較して変化し、それらの変化は地域全体の急速な都市化と関係していることが明らかになった。都市化の進展による「児童虐待行為類型」中で特に新しいタイプのネグレクトの顕在化とその増加傾向が示唆された。(2)こども虐待予防に関連する多職種の教育的ニーズの調査結果は、「連携」と「アセスメント」の能力を具備した看護職の教育プログラムの必要性を示していた。これらの子ども虐待予防に関する地域のニーズと関連多職種のニーズを踏まえて、3つの対応戦略を提案・実施した。(1)こども虐待予防関連職種間の「連携」概念構築と「アセスメント」能力養成のための新しい「プレアセスメント」と「アセスメント」のツールを作成した。(2)養育者を対象とした「参加型学習による親役割学習プログラム」を作成し、実施した。(3)日本の看護教育の改善に向けこども虐待予防における看護職の特殊な役割認識を深めるためにカリキュラムモデル4種類を作成し提案した。これらの成果は類似の問題を持つ国内の地域や諸外国でもその解決に貢献できると確信している。
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