研究概要 |
本研究は,在宅,あるいは老人施設(軽費老人ホーム,老人保健施設)に入所している大腿骨頸部骨折後の高齢者の活動,参加に影響を及ぼす要因を生活体験から明らかにし、在宅あるいは施設入所において健康関連のQOLの向上の支援について示唆を得る目的で,施設を利用している高齢者7名に半構成的面接を行い,質的記述的研究方法を用いて分析を行った。その結果,活動,参加の阻害要因として【痛みに耐える】【生活機能の低下を再認識する】【周囲を気遣い,活動.参加を自制する】【骨折後の抑鬱】4つのカテゴリー,促進要因として【自己の生活スタイルを保持する】【社会と関わり,楽しく過ごせる時間を持つ】2つのカテゴリーが見出された。活動,参加のサポート要因とし旨て【老いを自覚し,現実を受け止める】【生活行動を自己調整する】【支えの中で前向きに取り組む】が相互に影響を及ぼしていることが推測された。また,活動,参加の影響要因の関係については,阻害要因により心身共に不安定な状態に陥り,周囲の支えや励ましを力に現実を受け止めっ残された力に目を向け,生活行動を自己調整していた。そうした活動,参加のサポート要因は,社会参加を促す方向で作用しており,生活機能の要であると考えられた。それらサポート要因が心身の安定を促し,社会関係を維持し,楽しく過ごす場と時間を確保することを可能にしていると考えられた。今後は、活動,参加の影響要因と健康関連のQOLとの関連について検討し,大腿骨頸部骨折後の高齢者の回復過程における効果的な介護支援を具体化していく必要がある。
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