本研究は総論を平成19年度(最終年度)にまとめることを計画したものである。よって当該年度は論文等の発表をおこなっていない。本年は、環境芸術に関して現代まで残されてきた都市状況を、事前の文献調査とあわせて実地調査をおこなった。対象地を杭州(中国)、ニース(フランス)、マドリッド、バルセロナ(スペイン)とし、美術関連施設や宗教施設およびその周辺について調査研究をおこなった。また、関連研究として1件の環境芸術作品を完成・設置し、2件の共同制作による環境芸術の実践制作を進行中である。 『世界遺産』と称され観光の目玉として人間による所産が(自然環境を含んでいるが)世界中で観光資源として活用されている。このことは、世界が豊かになり、交通が発達し、旅行者が増加した結果によるものとして、一面では経済活動の一現象として理解することが出来る。しかし、俯瞰的に考えてみると、そうした文明や経済の発展の先に生まれてきた現象ではなく、いつの時代にあってもそのスケールはともかく、宗教的、政治的背景を含む場合もそうでない場合も、我々の生活の一部として脈々と続けられてきた活動である。このことはそうした所産が人間を幸せに生きる上で何らかの役割を果たしてきたとことは明らかであり、人間の根源的な欲求に対して「芸術」が応え得ることが再確認された。調査場所●中国(杭州)●フランス(ニース)●スペイン(マドリッド・トレド・バルセロナ)上記都市およびその郊外の街区広場、宗教関係の施設について調査をおこなった。 関連研究)環境芸術実践制作1.「アート遊具」制作 都市開発におけるアートワークの一部として公園遊具をデザイン、設計、制作、設置をおこなった。 作品名:SANJIN(すべり台)、FUJIN(ブランコ)、KAIJIN(プレイジム)所在地:東京ミッドタウン(東京都港区)檜町公園内(港区所管) 関連研究)共同研究実践制作(進行中) 1.「菊川イメージアッププロジェクト」コージアム研究部会(環境芸術学会) 下水道工事に伴う防音建屋の壁面を、近隣小学校の子どもたちと一緒にアート化するプロジェクト。指導は、現場教員と本学の学生6名の参加による。児童と大学生とのコラボレーション作品を制作。7月下旬完成予定 2.「西部総合病院壁面アートワークプロジェクト(仮称)」 本学教員2名と大学院学生3名とが共同して病院施設、屋内環境整備の目的で学部より依頼のあったものを研究課題と関連させながら考察、デザイン作業を進めている。
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