研究概要 |
池泉式回遊庭園において空間構成及び物理的環境を調査し,回遊シーケンスにおいて体験されるシーンをデータ化した。同データに基づいて音楽を生成する実験システムのプロトタイプを作成した。同システムを用い,等持院庭園の体験を音楽として表現し,庭園空間と音楽のマッピングについて考察し,次のような仮説が得られた。空間的事象と音楽的事象の関係には主に二つのはっきりと区別できるレベルがある。第一のレベル(存在のレベルと名付けた)の対応関係は大変強く一対一の対応であることに対し、第二のレベル(質,量のレベルと名付けた)の対応関係は明確でなく、多義的な多対多の対応関係にある(研究は音楽情報科学にて発表された)。また、これらから得られた知見の表現方法の模索として平成17年度9月1日〜25日、東京芸術大学美術館のDJ-Brand展にて床上の空間に置かれたオブジェの位置(空間構造)からインタラクティブに音楽がシステムによって生成されるSMALL-FISH(Installation Version)を展示した。平成18年、1月6日〜21日、東京芸術大学陳列館のスキノデリック展にてスキノデリックミュージック(Sound Installation Version)を音楽空間と彫刻/建築空間を統合するサウンドインスタレーションとして展示した。また平成17年、9月6日〜8日には国際コンピューター音楽学会会議(バルセロナ/スペイン)へ参加しTangible Music Instrument(卓上の物体の空間情報によって音楽を生成するシステム)のセッションのパネリストとなり、音楽構造と空間構造を結びつけるための研究について意見交換した。
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