平成17年度における研究実績は以下のとおりである。 標本化したデータを直接加工するのではなく、標本化したデータをフィルタリングし、有用性のあるフレームを抽出、従来型のキーフレーミングによるアニメーション制作において活用するという手法の確立について考察を行い、検証作業を行った。30fspで2.7秒間の空手の蹴りという複雑な動きを標本化し、標本化されたデータから、エクストリーム、ブレークダウン、Ease In and Out、Anticipation、Reactionといった特徴的な動きを計測グラフ上から判定し、キーフレームとして6つのフレームを抽出した。その結果、標本化された動きとほぼ同じ精度の再現性を得られた。オートリダクション機能とは異なり、フレーム単位で体の部位のキーが同期しているので、ポーズ単位でのタイミング調整が可能である。 加えて上記の成果を基に標本化されたデータから抽出したキーフレームのタイミング調整を行い、16フレームの疾走モーションからキーフレームとして6つのフレームを抽出した。抽出されたキーフレームのタイミングを、標準、強調、反転のアプローチで時間のデフォルメを行った。その結果、アニメーション表現として有用性のあるモーションを作成することが出来た。しかしながら、標準的な日本製リミテッドスタイルアニメーションに用いられている作画手法に応用するにはいくつかの問題点が残った。リミテッドスタイルアニメーションへ応用するには、まだ解決すべき問題点や課題が残るものの、標本化されたデータを半自動で編集することにより有用性のあるモーションを生成するということについては有意義な検証結果であった。従来、標本化されたアニメーションデータとキーフレーミングによるアニメーションデータは異なる利用目的と制作過程で生成されていたが、両者のメリットを併せ持つ制作手法の確立が期待できる。
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