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2005 年度 実績報告書

20世紀初頭のドイツにおける情報組織化運動とそのグラフィックデザインへの影響

研究課題

研究課題/領域番号 17600015
研究機関九州大学

研究代表者

伊原 久裕  九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教授 (20193633)

キーワードグラフィックデザイン / 情報組織化 / 近代デザイン史 / ドイツ / 印刷文化史 / 情報の歴史
研究概要

本研究の目的は1)「橋」の活動の実態、2)ポーストマンの業績、3)彼らの同時代のドイツにおけるグラフィックデザインへの影響の三点を究明することにある。文献調査および現地資料調査を行ったところ,下記の知見が得られた。
1.「橋」の活動の実態
「橋」が刊行した印刷物をほぼ全種類確認することができた。その結果,「橋」のメンバーの一人Karl Buhrerの活動がオストヴァルト以上に重要であることが判明した。彼はもともと「スイス地理商業協会」の学芸員として,写真を用いた人類学的・商業的資料の収集・展示を担当しており,このときすでに写真のフォーマット統一を提唱していた。さらに1905年以降のミュンヘンでの活動についても数編の未紹介雑誌文を発見し,フォーマット統一のアイデアの普及に努めている実態が確認できた。「橋」の活動はこうした彼の活動の延長線上に位置づけられる。
2.ポーストマンの業績
ポーストマンは,オストヴァルトから紙フォーマットの標準化と普遍言語の普及という二つのプロジェクトを受け継いだ。しかし両者の書簡,「ドイツ産業規格化委員会会報」の文献などを検討したところ,両者の関係が良好ではないことが分かり,この観点から改めてポーストマンの業績を見直す必要性を認識できた。
3.同時代のグラフィックデザインへの影響
1920年代のグラフィックデザインへの影響を考えるうえで,ポーストマンに加えて広告理論家Hans Weidenmullerの存在が重要であることが判明した。両者はいずれも影響力の大きかった雑誌「Organisation(組織化)」にしばしば寄稿した人物たちであるが,とりわけヴァイデンミュラーは「組織化」の観点から広告批評を展開しているほか,バウハウスの機関誌にも寄稿しているのである。
以上の調査を通じて,「組織化」が同時代のデザインを考えるうえで最重要のキーワードであることが分かった。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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