今回の研究の目的は第一に「考える力や応用力を養う」こと、第二に「作業的体験的活動の重視」の二つを挙げることができる。その為には教育の主体が教員から生徒へ転じなければならない。例えばものを制作する、実験する、観察や測定するという「数学的体験」を通すことによって、生徒自らが問題を発見し解決出来るような、生徒が主体の教育が可能になるのではと考えている。 これらの考えから、数式を一つの彫刻的な造形作品にすることによって、生徒達がその作品に興味を抱き、作品に触れたり観察や測定して、生徒自らが隠されていた数式を見つけ出し理解できるのではないかと予測している。そこで今年度は新たに制作した5作品を含めて、生徒達と御父母の方々に数学的な体験をして頂く為、8月に札幌商工会議所の主催でおこなわれた子供未来博にて「算数・数学おもしろ大サーカス」とのタイトルで展示をさせて頂いた。また、2月には北海道電力の主催でおこなわれた「科学で遊ぼう・おもしろ実験室」にて展示させて頂くと共に、説明員としても両会場での展示作品に対する反応を窺い知るために参加させて頂いた。 また、今年度展示した作品の動作状態を映像として記録すると共に、映像を編集して動機付けの作品として制作することを進めている。今後それを子供達に事前に見て貰うことにより、数学的な体験をする前に興味を抱ける環境を整えることができるのではないかと考えている。同時にその映像は説明員の解説用映像としても利用できると考えている。 最後に、来年度企画している「数理美を生かした造形作品展」展覧会の資料収集と調査の為、3月にアメリカのボストンの科学館・美術館・ハーバード大学等を視察して来た。
|