前年度に引き続き、歴史的な研究と共時的な研究を併用した。 I.歴史的研究 数年来の研究の成果を、野村伸一著『東シナ海祭祀芸能史論序説』(風響社、2009年、6月刊行予定)としてまとめた。本書は六章構成。対象地域を東シナ海周辺に限定しつつ、弟一章は〓祭に由来する収穫祭祀、弟二章は南方の灘、弟三章から弟五章は巫覡の祭祀(狭義の巫の儀礼、女神、海神、龍蛇の信仰を含む)、第六章は仏教・道教とかかわる祭祀を主題とし、それらと芸能の関係を歴史的に論じた。同時に各章の末尾には現在伝承の所在地を記した。また、それらをより詳細に知るためのウェブサイトをも提示した。「東シナ海祭祀芸能史論のすすめ(補遺;図録、映像)」 http://www.flet.keio.ac.jp/〜shnomura/susume/susume.htmlほか参照。 II.共時的研究 1.福建省〓田における南戯の現地研究調査旧暦3月23目の媽祖生誕行事と〓仙戯(南戯)を現地調査し、記録した。 2.鹿児島県奄美大島の豊年予祝祭祀調査龍郷町秋名のショチョガマ、平瀬マンカイの行事を東シナ海の豊年予祝祭の視点で実地調査。その概要を図録としてウェブ上で公開した。「庵美大島秋名のアラセツーショチョガマと平瀬マンカイ」(http://www.flet.keio.ac.jp/〜shnomura/amami/amami.html)。 3.台湾の王爺祭祀調査台湾南部では3年ごとに各地で王爺を迎え、送る祭祀がおこなわれる。2009年3月、台南県安定郷蘇〓の真護宮において、そのひとつの事例を調査記録した。
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