17年度は主に現地調査による資料収集とデータベースの構築に力を注いできた。 具体的には、中国南方地域にあたる江西省および少数民族自治区域である湖南省南部、貴州省が主な研究対象地域となった。 これらの地域は交通が不便であることから、文化接触が比較的少なく、伝統的な生活習慣や祭祀を残している。そこで、主に現地で現在も行われている祭祀儀礼、芸能、歌謡の取材をおこなった。また同時に、民間信仰、家屋や象徴的な建造物、民間信仰、トーテム等における表象芸術、祭祀に使用する楽器や祭器に表れる象徴を収集した。これらを類型化し、分析する作業は蓄積しつつあるがまだ文字による発表の段階にいたるには比較考察が必要である。 さらに研究をより多角的で確実なものとしていくために、口頭発表を以下のようにおこなった。 有澤晶子「トン族の死生観」(黛ビルホール・民族文化の会:2006.3.15)、諏訪春雄「日本人と宗教(所沢市市民文化センター・ミューズ:2005.4.30)」、「仮面の製作者(中国南昌市江西科技館:6.13)」、「アイヌのイオマンテ(町田市中央公民館:6.14)」、「秋田のナマハゲ(町田市中央公民館:7.5)」、「山形出羽の松例祭(町田市中央公民館:7.19)、「民俗祭祀に表現された日本人の死生観(黛ビルホール・民族文化の会:7.31)」、「諏訪の御柱祭(町田市中央公民館:9.6)」「能登のアエノコト(町田市中央公民館:9.20)」愛知の花祭(町田市中央公民館:10.11)」「宮崎の銀鏡神楽(町田市中央公民館:10.25)」「竹富島の種子取祭(町田市中央公民館:11.8)、「日本の太陽祭祀(名古屋市南山大学・比較神話学会:2006.1.5)、「来訪神儀礼と芸能(京都造形芸術大学・春秋座:2006.1.17)、「地獄破りの芸能(黛ビルホール・民族文化の会:2006.3.15)」等。 これら個々の事例の蓄積をデータベース化して類型化し、比較考察していくのはこれからの作業となる。
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