研究課題/領域番号 |
17600025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
表象芸術
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研究機関 | 学習院大学 (2006-2007) 東洋大学 (2005) |
研究代表者 |
諏訪 春雄 学習院大学, 文学部, 名誉教授 (60082921)
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研究分担者 |
有澤 晶子 東洋大学, 文学部, 教授 (60246775)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 循環の死生観 / 断絶の死生観 / 多神教 / 一神教的多神教 / 日本文化 / 中国文化 / 道教 / 年神信仰 |
研究概要 |
私どもの研究目的は、日中双方の祭り・芸能・演劇・画像などを調査し、そこに表現された、神、他界、地獄、極楽などの形象の比較検討を行うことにあった。その結果を総合して日中の死生観を解明し、成果を公開・刊行する作業を進めた。研究期間中、諏訪の個人ホームページ、学術雑誌論文、単行本中の各章、毎月の研究会民族文化の会などに成果を発表してきたが、最終的には、研究代表者諏訪春雄の著書『大地女性太陽3語で解く日本人論』(勉誠出版、2009年3月刊行)にまとめた。日本は多神教であり、中国も同様である。しかし、中国の多神教、朝鮮半島に受け継がれていった多神教は、日本の多神教とかなり大きな違いがある。それらの多神教は、絶対的な天の神を信仰して、その周りにもろもろの神を配置する、極めて一神教に近い多神教である。つまり一神教的多神教である。このような文化が1つのグループとして存在するのだということを念頭に入れておかないと、日本の多神教文化と中国や朝鮮半島の多神教文化の違いは理解できない。その違いは、芸能、演劇、絵画、神、地獄、極楽などの各方面に現れている。我々が最終の研究目的とした死生観にもその違いは見られる。日本人は、古来、死と生は循環し、死者は他界で先祖の霊と交わり、時あって再度現世にもどってくるという死生観をもっていた。この死生観は、仏教の地獄・極楽思想の影響下に、生前の善悪の行為によって、死と生が断絶する断絶の死生観の浸透を受けたが、しかし、正月の年神信仰など、現在にも循環の死生観は生きている。他方、中国の死生観の大勢は、道教さらに仏教の教理に基づき、死者と生者はきびしく区別され、さらに悪人の死者は地獄に留められる断絶の死生観に支配されている。
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