本研究は、教育、医療、福祉の場における芸術の役割に関して調査・研究することであるが、本年度は、研究代表者である森田実穂は、記載論文において、児童、生徒、学生、保護者の世代間を越えた500人を対象とした参加型ワークショップをおこない、造形活動内容を創出、実践、検証をおこなった。また、同時に、学校の造形芸術教育プログラムに関して、地域の学校において実践、検証した。 研究協力者である上村博は、芸術教育に関して、芸術活動を、複数の人間によって行われるコミュニケーションとしてとらえ、芸術作品としての教育行為の可能性を探ろうとした。そのなかで、特に音環境のワークショップを複数年次・複数地域にわたり実施してきたが、本年度は、平成21年3月、愛知県名古屋市において、サウンドアーティストの鈴木昭男氏を講師に招いたワークショップを行った。 研究協力者である原田憲一と土屋和三は、自然教育と芸術教育の融合の可能性を探り、土屋は里山活動と芸術活動の関連性を実践し、原田は、ピンホール写真を自然観察に導入し、また平成21年5月下旬から7月下旬にかけて京都大学と本学が共同して実施した「教員免許状更新予備講習」試行プログラム「理科大好き先生に変身する3日間」(申請代表者:大野照文・京都大学総合博物館教授)で、主に小学校教諭(20名)に対して芸術鑑賞と芸術表現のワークショップを導入して、教育効果を確かめた。 研究協力者である藤澤三佳は、医療・福祉の場における芸術の役割に関して、記載した学会発表、論文発表のなかで、東京近郊の平川精神病院をとりあげて、過去40年の歴史を跡付けた。また、森田は、高齢者、障害者の作業療法と理学療法の継続調査及び、障害者授産施設における造形活動調査、研究をおこなった。 上記、研究代表者及び、研究協力者の各分野の芸術の役割に関する研究は、共に、芸術をコミュニケーションとしてとらえて、その具体的内容を示すなかで、検証をおこなった。
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