研究課題/領域番号 |
17600028
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山下 雅之 近畿大学, 文芸学部, 教授 (20200694)
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研究分担者 |
前田 益尚 近畿大学, 文芸学部, 助教授
桑原 丈和 近畿大学, 文芸学部, 助教授 (10261257)
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キーワード | マンガ / フランス文化 / バンデシネ / 表象芸術 / 社会学 / 比較文化 / BD / アングレーム |
研究概要 |
今年度は主としてフランスのマンガの現状を把握するため、資料の収集及び現状の視察を中心に行った。一方で研究分担者とともに日本マンガとフランスマンガの比較という観点から研究会を数度おこなって、比較研究の理論的ベースを模索した。 まず平成17年度夏期休暇を利用してフランスとベルギーでマンガ文化の中心をなすと考えられる都市、アングレームとブリュッセルを訪れた。アングレームでは国立マンガセンターで展示資料の閲覧と蔵書資料の検索、調査を行った。またアングレームは町全体のあちこちの壁面に有名なマンガキャラクターが描かれているので写真撮影を行った。ブリュッセルでは、マンガセンターを訪れ、展示されているマンガ史に関する資料を閲覧し、図書館の蔵書を調査した。また市内各所にある書店、古書店を訪れ、マンガの資料収集に当たった。このほかパリなどを中心に書店、古書店を訪れ、マンガの資料を収集した。 平成18年1月にはアングレームで行われた国際マンガフェスティバルを視察し、多くのマンガ出版社や作家、雑誌社などのブースを訪れマンガ資料を収集するとともに、関係者にインタビューを行って、マンガ界の現状についての意見交換を行った。 これらの出張及び資料収集そして研究会などの結果、暫定的であるが以下の結果が得られた。フランスのマンガ界は現在、日本マンガなどの影響下で変化の時期を迎えており、全体として活況を呈しているが、伝統的なバンデシネが今後どのように変化するかは不透明である。マンガ作家の側もこうした変化に対応するため、絵のスタイルやストーリー展開など点で新たな形態を模索していると感じられた。日本との違いとして、フランスのマンガ界は他のヨーロッパ諸国や南米、アフリカなどとの人的な交流が盛んであり、より開かれた世界規模での新たなマンガ文化を形成する可能性を秘めていると感じられた。
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