研究課題/領域番号 |
17601007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
萩原 清子 首都大学東京, 都市環境学部, 教授 (00198649)
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研究分担者 |
萩原 良巳 京都大学, 防災研究所, 教授 (00268567)
張 昇平 名城大学, 都市情報学部, 教授 (90278333)
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キーワード | 北京市の水環境問題 / 北京市の水辺環境整備 / 水辺環境整備の基本方針 |
研究概要 |
日本と中国の水辺環境創出の比較を行うため、特に今年度は、共同研究者3名による中国北京市における水辺環境整備の現状についての現地調査を行った。北京市はこの20年間の経済発展により蓄積してきた経済力と、生活が豊かになった住民による都市環境改善に対する要望の高まりを背景に、オリンピック開催都市に決まったことがきっかけとなって、都市の大改造が進行中である。本研究では、都市の再整備に当たって、北京市が直面している水環境問題と、それを解決するための対策について調査し、北京市水環境整備計画の特徴と課題をまず明らかにした。 1998年から北京市では連続5年間にわたって渇水が続いた。ダム貯水量が毎年減り続け、北京市の水がめである密雲ダムや官庁ダムによる天津市への水供給を停止したり、山西省からの水を導水するなどの緊急対策がとられている。また、公共用水域の水質汚濁がかなり深刻化していることが明らかとなった。こうした中、北京市は水辺環境の再整備に当たって5つの基本方針を掲げている。すなわち、1)水辺ネットワークの再形成、2)公共用水域の水質改善、3)生態系の再生、景観の回復、自然との調和重視、4)歴史的・文化的特徴に配慮、5)自然と人間社会活動との調和を重視、である。このような方針の下で、北京市における水辺整備の第1号として、1975年に埋め立てられてから28年間もの歳月をかけて転河が再び生き返った。しかしながら、このような整備は、北京オリンピックのためという極めて政治的なもので、住民の要望に対する配慮や整備効果・効率性に関する検討がかなり不足しているものと見受けられた。
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