研究課題
今年度は、本研究の実践舞台となる黒田村において、地域環境に根ざした「ものづくり」の可能性がどのように開かれているのかを探るべく、その前段階として以下の企画、調査をおこなった。(1)黒田地区の自然環境の観察、(2)黒田地区の伝統的遊びに関する調査研究(1)に関しては、旧京北町片波自然観察インストラクターの伊藤五美氏と地質研究者である本研究分担者の原田教授を講師に招き、御用林としての歴史と深く結びつき形成された黒田地区内の片波川源流域の特異な伏条台杉群とその周囲の動植物、地質の現地観察を、本学学生および黒田の子供たちも交えて春季と秋季におこない、その特性や現状を理解すると共に、黒田地域の先人達が脈々と培ってきた自然との共生の知恵や、周囲の環境に応じて自在に姿を変える自然の摂理を体験できる機会とした。(2)に関しては、地域学研究者の中路正恒教授、環境デザイン学研究者の下村泰史助教授(共に本学教員)、それに本研究の協力者、寺村幸治氏が中心となって、本学学生と共に黒田地区の古老たちから、黒田地区の伝統的な遊びに関する聞き取り調査を三度にわたっておこなった。更に、夏祭りの伝統行事である松上げに使用する松明作りや、手作り漁具による鮎取りといった地域の行事にも参加しながら、「ものづくり」を踏まえた新たな遊びの開発のヒントとした。以上の活動に加え、研究分担者の椎原氏の指導の下に、本学学生が地域の子供たちと共に夏祭り会場の入り口用の大アーチを制作し、「ものづくり」の面白さを彼らと共有すると同時に、祭り当日の松上げにも参加し、過疎化によりややもすれば下火になりがちな村祭りの活性化を図った。なお、研究分担者の森田助教授が、昨年に引き続き、京都・大阪・兵庫の中学・高校を訪問し、美術教育の現状と問題点についての調査を継続している。
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すべて 雑誌論文 (4件)
『近代都市景観の成立と受容に関する比較研究』科学研究費補助金報告書(課題番号14310027)
ページ: 26-35
モノ学・感覚価値研究(モノ学・感覚価値研究会年報)
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京都造形芸術大学研究紀要『GENESIS』 10号
ページ: 164-179
ページ: 252-260