昨年度に継続し、シーブ(Sieve)電極の人工感覚用インターフェイスとしての評価実験を行った。また、新しいデザインの電極開発も引き続き行った。昨年度はラット後耳介神経感覚枝へのシーブ電極の埋め込みとその電極を介しての神経刺激を行い、浅い麻酔下ではあるが耳介反射を生起させることができた。今年度は完全覚醒下で自由行動するラットに対して同様の神経刺激を行い、より確実に耳介反射を生じさせることができた。シーブ電極を味覚神経(鼓索神経)に埋め込んだラットについては、麻酔下では反射的行動をうまく引き起こすことが出来ていなかったが、本年度の完全覚醒下における実験では、電気刺激によって生ずる反射的行動を観察することができた。 また本年度は長期の電極評価を行ない、最長7ヶ月までは刺激効果が持続することを確認した。しかしその後は頭部ソケットが脱落し、実験の継続を断念した。頭部にソケットを取り付ける方法では半年以上ソケットの脱落や電極の切断等の事故を防ぐことが困難であり、電極の長期評価の妨げになっている。この問題を解決するには完全埋め込み型の経皮的刺激インターフェイスの実現が必要であり、現在そのための研究を進めている。さらに、シーブ電極の最適化とより効果的な電気刺激条件を求めるために、孔の直径、電極リングの金属露出面積、配線間隔等を見直してデザインを一新した数種類の電極の製作を行った。これらの新電極を用いた実験は現在計画中である。
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